リムジンシートが売りだったルネッサをベースに3列シートの8人乗りミニバンに仕立てられたのがプレサージュ。そのプレサージュの兄弟車として開発されたのがこのバサラです。ルネッサはカリフォルニア州などで電気所自動車としても売るために、床が非常に高い設計になっていました。もちろん、床下に多数のバッテリーを搭載するためにです。なので、電気自動車ではないノーマル仕様のルネッサ、それをベースにしたプレサージュ、バサラともに、床下には大きなデッドスペースが残ってしまいました。結果的に、他社の同クラスのミニバンよりも床が10センチほど高く、それにあわせ全高も10センチほど高いものとなっています。
これがこの3兄弟の最大にして唯一の欠点だと思います。もちろん、ウチの父のように、「着座位置が高いので、見晴らしがいい」という考え方も出来ますが、私個人の意見としては、多くの自動車評論家と同じく、「スペース効率性が悪い車」という思いが強いです。
ですが、走りは今なお一級品です。YD25DDti型のエンジンも非常に優秀なものです。このように、長短に差が非常に大きいこの車の印象を私なりにまとめていこうと思います。
バサラの○!のポイント
やはりエンジン性能を第一にあげないといけません。150 ps / 4000 rpm、28.5 kgm/ 1800 rpmというカタログ数値からも分かるように、ディーゼルらしい低回転で最大トルクを発生しています。発進時などでアクセルを踏み込むと、即最大トルクが発生する、そんな感じです。ターボラグを意識することはほとんど皆無です。
また、ディーゼルとはいえツインカムエンジンです。もっさりした感じではありますが、1速では軽く高回転まで吹け上がっていきます。ゴー、ストップが連続する都市部では車体の「重さ」を意識してしまいますが、それ以外のシチュエーションでは、高速道路、山坂道なども含めて動力性能には不満がありません。
こんな高性能エンジンですが、燃費も抜群なのです。郊外を中心に走ると13キロくらい。高速道路ではアクセルを踏み込む関係上、12キロくらい。さすがに都市部中心では7、8キロくらいにまで落ち込みますが、8人乗りのミニバンで、2500CCのターボエンジンの4WD仕様です。それを考えると非常に優秀だと思います。
ディーゼルエンジンにつき物の振動と黒鉛も、「え?ディーゼルなの?」と驚かれるほど少ない物になっています。黒鉛に関してはキックダウンをしたときに一瞬見えるかどうかで、振動に関しても電子制御のアクティブエンジンマウントのおかげで、走行中、アイドリング中ともに4気筒のガソリンエンジンと同程度か、それ以下の振動と言っても過言はありません。
と、エンジンについての話が続きましたが、ハンドリングも非常に優秀です。2台目オデッセイが登場するまでは、ミニバン随一のハンドリングと言われていたのも納得です。スポーティというわけではないのですが、とても自然なフィーリングで、最近の2000ccクラスのFFファミリーカーのような「誰でも安心して運転でき、いざというときにはかなりの無理もできてしまう」という印象です。実際、よほどきついのコーナーで無い限り、車高の高さはあまり意識させられません。
そうそう。意外と音の良い純正オーディオも付け加えておきます。デッキ、CDプレーヤーともR34スカイラインと偶然に同じものを使用しています。スカイラインのほうは前後ともスピーカーを交換済みで、一応12個のスピーカーがついていることになります。ですが、バサラの純正ノーマルスピーカーのほうが自然で、かつ豊かな低音が出ており、ボーカル域もバサラの方がはっきりと聞こえてきます。これはスピーカーと乗員との位置関係にもよるのかもしれませんが、意外な嬉しさである反面、スカイラインの音に対する不満が高まったのでもありました。
バサラの×!のポイント
やはり無駄に高い床面を真っ先にあげないといけません。たしかに結果的にフラットになった床を利用した、「3列目の3人乗り」は他車にはない特徴です。あんなに床下にデッドスペースがあるのなら、それこそ観光バスのようにサイドから荷物を出し入れするトランクルームを設置するとか(スキーなんかを入れるには最適な場所だと思うんです)、3列目シートを床下に完全に収納するとか、もっとももっと効率的な空間利用に仕方があったのでは??と思うことがあります・・・それはタイヤ交換をするときです。年に2回、ジャッキアップするたびに、「こんなに空間があるんだ・・・」とため息さえ出てしまいます。
上に関連するのですが、高い車高さ隠すため?に標準でつけられたサイドシルスポイラーが大きなマイナスポイントです。見た目は確かに格好いいのかもしれません。しかし、ジャッキアップポイントを見つけるのが一苦労ですし、乗り降り時に靴が引っかかるためか、運転席付近は既に塗装がかなり禿げてしまっています。一応、フルエアロ仕様になっているのですが、バサラの場合はスポーティに見せるというより、腰高感を拭うためにつけられているように思えてなりません。
なかなかロックアップしないAT。これは軽快な走りを目指したためなのかもしれませんが、田舎道をまったり流しているとき、高速道路を定速巡航しているときでも、相当足先に神経を集中させないとロックアップしてくれません。したとしてもほんの僅かな足先の動きでロックアップが外れてしまいます。これがパワーモードなら納得なのですが、ノーマルモードではもう少し粘ってもいいのでは?と思ってしまいます。せっかく低回転域から豊かなトルクを発生するエンジンなのですからね。ロックアップ領域が広がると燃費もさらに拡大すると思います。
あまり届かないキーレスエントリー。新車時から、数メートル先までしか届きませんでした。20メートル近く離れても電波が届いたスカイラインとは大違いです。まあ、あまり困ることではないのですがね。
汚れが非常に目立つシート&フロア素材、そして色合い。淡いグレー系なのですが、とのかく汚れが目立ちます。特に気になるのがフロアの汚れ。乗り降りしづらい車なので靴が引っかかるせいだと思います。明るい色使いとも言えるので、欠点とばかりいえないことも無いのですが、私はあまり好きな色ではありません。
知名度の低さ(笑)。プレサージュの方が圧倒的に有名ですね。まあ、販売台数が少ない車ですから仕方ないのかもしれませんが、途中外観もマイナーチェンジし、テレビCMも流れたプレサージュに比べ、外見は全く変わらず、マイナー後のCMもなかった(ですよね?)バサラ。この違いも大きかったのかもしれません。宣伝費用をかけても、その効果があまり無いと判断したせいなのかもしれませんがね。
バサラの??なポイント
車名。一応はサンスクリット語に由来するらしいけど、日本史で出てくる婆沙羅大名を連想してしまいます。まあ、別にいいのですが、知名度の低さとあいまって、あまり好きな名前ではないです。
7人乗りを選択できなかったJスプレンド。まあ、廉価バージョンですからカラーやオプションをほとんど選べなかったのは仕方ありません。しかし、セカンドシートがキャプテンシートの2+2+3、7人乗りバージョンの方が3列目へのアクセスが格段にしやすかったと思います。いっそうの事、かつてのプレーリーにあったような2+3の5人乗り仕様があっても良かったかも。ルネッサがなくなったのですから、乗り心地を最優先したリムジン仕様の2列目があると我が家のような場合は重宝したと思います。
|