HONDA CR-Z 6MT 平成22年式

CR-Zの○と×

 CR-Zの購入にあたっては、スポーティなマニュアル車という、これだけでも購入動機として十分なほどでした。ましてや、6速のマニュアル車は、所有するこはもちろん、運転することも初めてです。ハイブリッド車もしかり。ホンダの車を購入するのも初めて。そんな始めてづくしでしたが、田舎での生活が数年続くことが予想されていたため、出張、買い物、病院、帰省と、どこに出かけるにも片道80キロ以上の運転になってしまいます。一日に300キロ近い距離を走ることもざらでした。確かにコペンも燃費がいいけど、あの小さな車ではさすがに余裕がないし、身体もしんどいです。そんなにときに、以前、モーターショーに出品されているときから気になっていたCR-Zが発売となりました。6年目に差し掛かり錆が目立ちだしたものの、コペンの下取りもびっくりするほど高額でしたし、エコカー補助金ももらえます。そんなこともあり、新型車でぜんぜん値引きしてもらえませんでしたが購入を決断することにしたのでした。ホンダとはつきあいがなかったけど、元の同僚の方が20年来の付き合いのセールスの方を紹介してくださったため、本体の値引きは渋ちんでしたが、そのほかのところではかなり頑張っていただくことができました。

CR-Zの○なポイント
・やはり、スポーツカー冬の時代にこのスタイルで発売されたことでしょうか。ハイブリッドではなく、テンロクのNAで発売になっていても買いました。いや、そのほうが価格も安くなっただろうから、より積極的に買ったかもしれません。マニュアル車がほとんどなくなった昨今、6MTの設定があったのも大きな購入要因です。発売当初では、40%もの人が6MT仕様を購入していたとか。スポーティなMT車に乗りたいという潜在需要が明らかになった形です。とはいえ、かつてのCR-Xがほぼ100%MT仕様車が売れていたことを考えると、時代の流れを感じてしまいます。
・ハイブリッド車で世界初の6MTということ。まあ、5MTはかつてのインサイトで設定があったのでマニュアル車は初めてではありませんが。バッテリーの容量がそんなに大きくないため、長い上り坂で途中でバッテリー切れになってしまいますが、それまでは、6速で40キロからのんびり加速するとか、6速のまま中山峠を上っていくこともでき、2500CCのスカイラインの5速での登板能力と同等のトルク感があります。1500の実用エンジン車としては上々です。
・それなりに広いラゲッジルーム。バッテリーの関係で上げ底気味で体積はないですが、面積ならかなりのものです。リアシートをたたみ、助手席も含めるとみかん箱なら10箱もつめてしまいました。妻と同居する前、こうやって少しずつ荷物を運んだのでした。
・燃費。おとなしく郊外の国道を走ればリッター25〜28は走ります。さすがハイブリッド!といいたいところですが、平坦な道中心ではバッテリーは「重り」でしかないはず。なので、エンジン性能そのものがエコなんだと思います。

・一応、リアシートがついた4人乗りであること。まあ、実際に人を乗せることはほぼ不可能ではありますが、緊急事態の時には役に立ちます。それに、2シーターのコペンでは2人で乗ると手提げバッグですら置き場がなくなってしまいましたが、CR-Zなら荷物置き場としてリアシートを活用できます。足元スペースが皆無のリアシートなので、フロントシートのすぐ後に「棚」がある感じです。なので、とっても使いやすい物置き場だと思います。
CR-Zの×なポイント
・ひょこひょこするショートホイールベース車独特の挙動。特に高速道路を直進しているときに、そう感じることが多いです。まあ、比較対象がアテーサを搭載した4WDのスカイラインということもありますが、特にリアの落ち着きのなさを感じてしまいます・・・という、大衆車フィットの足回りをそのまま移植したことに影響があるようです。事実、雪道でVDCをオフにしてみると、FFにも関わらずお尻が出ようとすることが多々あります。面白い挙動といえばそれまですが、FF嫌いの私には嫌な挙動です。

・やはりアンダーパワーなこと。エンジンももっさり回ります。せめてあと10PS馬力が高いか、あるいは車重が100キロ軽いか、あるいはもう1000回転エンジンが回ってくれるか・・・そのいずれか、いや、その全てがないとスポーツカーとはいえないです。現状では、スポーティーな装いのFITでしかありません。アクセルオンとともにモーターが全開で仕事をするパワーモードにすれば、それなりにはスポーティー感も味わえますが、それもモーターのトルクが有効な4000回転ほどまで。素のエンジンが中心となる高回転域では実用1500CCエンジンでしかなくなってしまいます。ホンダのNA車ということで期待しすぎなところもあるかもしれませんが、トルク特性、エンジン特性も含め、スポーティーとはいえないのが現実です←マイナーチェンジでこの点は改良されました。悔しいけど(笑)

・パワーモード時の特性。すぐにモーターが全開になるのはいいのですが、発進時に注意しないと、ノーマルモードと同じ感覚でクラッチをつないでしまうと免許取立ての初心者のように、半クラッチのままエンジンがふけてしまいます。さらには、ここ一番の加速の際、6000回転近くまで回し素早くシフトアップを行おうとすると、アクセルを離しているにもかかわらずモーターが回ろうとしてしまう影響か、エンジンがさらに回ろう吹けあがってしまいます。これまた下手な初心者が慣れないマニュアル車を運転しているみたいです。

・3ナンバーなこと。いや、3ナンバーでもいいんです。ただ、ベースのフィットが5ナンバーのため、ドアの厚みで車幅を稼いでいます。そのため、3ナンバーにもかからず、運転席と助手席の間隔が狭いです。実用的なコンソールボックスなんかもありません。その逆に、ドアとは無駄な幅があります。つまり、幅があるにもかかわらず、車体の中心付近に座っている感じなのです。普段はこれでもいいのですが、高速道路に乗ると妙に疲れてしまうんです。ひょこひょこする落ち着かない挙動のせいもあるけど、車線の中心を走ろうとするだけで無駄に修正を強いられてしまいます。また、1500CCなのにスタイルのためだけの3ナンバーにもかかわらず、ホンダディーラーに持っていくと、ドアの厚みのせいだけで一番高い3ナンバークラスの点検料が適応になってしまいます。中身はフィットなんだけどな〜。

CR-Zの△なポイント

・燃費。長距離でおとなしく走ると25キロ以上は余裕で走ります。だけど、これはハイブリッドのメリットではなく、単にエンジンがフィット系の実用エンジンだからに過ぎません。ハイブリッドシステムをはずすと軽くなり、さらに燃費があがると思います。アップダウンが交互に続く峠道ではハイブリッドのメリットを発揮しているのでしょうけど、頂上までずっと上るだけの峠ではすぐにバッテリーが空になってしまいますし、下り道ではすぐにバッテリーがフル充電になってしまい、ハイブリッドのメリットを活かせません。ハイブリッドのメリットだな〜と思うのは、北海道内では旭川市内、札幌市内など、信号でのゴー、ストップが連続する市街地に限られるような気がします。たとえば、コペンでもリッター10キロ位しか走らない市内中心部でも、CR-Zなら平均燃費で15キロほどでコンスタントに走りますし、流れが良い札幌郊外などでも20キロ近い平均燃費で走ることができます。同じ条件では、スカイラインならリッター3〜4キロしか走りません(笑)

未来的なメーター。まあ、おもちゃです。80年代に流行ったデジタルメーターを髣髴させます。当時も、ドライブコンピューターなる燃費などを計算する電卓に毛の生えた装備が流行りましたが、CR-Zのメーターもそれと大して変わりありません。巡航距離や、運転時間など、表示させたことすらないし、逆に、モード切替の際に、項目が多すぎて表示させたい内容まで何度もボタンを押さねばなりません。ちなみに、私はいつもトリップBを表示させています。毎日、運転開始と同時にトリップBをリセットし、その日の平均燃費を確認しています。エコへの意識が高まるし、「今日は流れが悪いから燃費が悪いな」とか、「今日はちょっとアクセルを踏みすぎたな」というのを如実に感じることができるのでお勧めです。

ライトの配光特性。プロジェクターのためカットラインがはっきりしていますし、工場出荷時の設定ではロービームでは先が見えなく、危ないとすら感じてしまいます。フォグランプにいたっては点灯しても分からないほど手前ばかり照らしています。さらにはショートホイールベースのためひょこひょこしているので、道路の補修跡などで道ががたがたしてリアが跳ねるような場面では、余計手前を照らしてしまい、10メートル先くらいしか照らしてくれません。しかも、プロジェクターの欠点で明るい、暗いが完全に分かれてしまい見えづらく危険です。この理由として、、最近の車なので人数や荷物の量にあわせ自動的にライトの光軸を調整してくれるのですが、これが悪さをしてしまい、道路の補修に差し掛かりサスペンションが仕事をしだすと、乗車人数が増えたと誤認するのか、さらにライトが手前だけを照らしてしまうことがあげられます。峠の左カーブ、道路補修後なんて条件が重なると、前が見えなく怖いくらいでした。あまりに危険なのでディーラーに相談すると、基準値には幅があるようだったので、ややライトを上げ気味にしてもらえました。これでだいぶ解決したけど、初めてこの車に乗せる人には、「ライトが暗い車だね」とよく言われます←正確には、暗いのではなく、手前だけを照らしているんです。

・オーディオの音の悪さ。オーディオ本体、前後スピーカーとのそれなりの価格の社外品に代えています。ですが、安物のラジカセのような音に聞こえてしまうんです。ヘッドユニットとフロントスピーカーはコペンでも使っていたため、その音の差に愕然としてしまいました。配線自体はホンダの純正品を使っているため、この配線が悪いのか、あるいは、スピーカーの位置が悪いのか。高音の伸びも、低音の響きも、同じスピーカーとは信じられないほど物足りないものです。

・無駄に大きなドア。重たいですし、狭い駐車場では開ける際に気を使ってしまいます。2ドア車の宿命ではありますが、人を乗せることがほぼ不可能な車なので、無用の長物に思えてなりません。

 

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